はじめに 
                    .なぜレコーディングするのか?


 インディーズで音楽活動をしている皆さんにはデモテープ制作・CD制作は
 「避けて通れない道」 でしょう。そしてその音源(デモテープやCD)の制作
 には大なり小なり「レコーディング」作業を 行います。

 レコーディングして音源を制作する目的は、ズバリ「自分(達)が作った楽曲を
 さまざまな人々に伝えるため」です。当然、その伝える相手、またその音源の使途
 (販売、配布、バンドのメンバーに楽曲を伝えるためだけ)、予算によってレコー
 ディングの方法は変わってきます。自宅でシーケンサーなどの打ち込み機材を使って
 楽曲を作りそれをMDに落とすだけの簡単な方法(予算0円)から、レコーディング
 スタジオをおさえエンジニアなどの人々を使ってレコーディングする本格的な方法
(予算数万〜数百万 )までさまざまです。 

 この「誰でもわかるレコーディング講座」では伝えたい相手、また制作する音源の使途
 に適したレコーディング方法を予算別、音楽 ジャンル別など詳細の項目別に分け、より
 リアルで役に立つ「レコーディング」を紹介したいと思っています。

 それではまず、一般的にバンド系のミュージシャンがレコーディングする場合に使う
 レコーディングスタジオを使ったレコーディングについて次のページから紹介してい
 きましょう。


                          1.レコーディングスタジオ


 a)レコーディングスタジオを使って制作した音源
  について この方法の一番の長所はずばりクオリティが高い音源を作れるということです。
聴いてもらいたい相手が大手メジャーレーベルA&R(一般的に言うデモテープオーディション)
 から一般のリスナーまで幅広く、そして制作した音源を配布・販売したい場合は、「レコーデ
 ィングスタジオによるレコーディング」をおすすめします。  


                           ・オーディションに 
  まずデモテープオーディションに関していえば、「音質が悪い」というただそれだけの
  理由で聴いてさえもくれないというのが常識です(他にもテープを巻き戻していない、
  歌詞・プロフィールなどを送り忘れるなどすると聴いてくれません)。たとえどんな
  にいい曲でも、聴いてもくれないのでは送る意味がありません。

 
       ・プロモーションに 
  また実は一番やっかいなのが一般のリスナーです。ライブハウスに出演したときなどに
   バンドのプロモーションのために音源を配布・販売する場合がありますが、一般のリスナー
   は音質が悪い音源を聴こうとはしません。普段、大手によるクオリティの高い音源を聴いて
   いる彼らは音質の悪い音源なんて聴いた瞬間、ラジカセのストップボタンを押してしまうのです。
   またそれどころか、下手なデモテープを配布・販売すると「あのバンドは下手だ」とか
  「金返せ!」とか言われてしまい、逆プロモーションにもなりかねません。  



  2.レコーディング準備

 a)心構え レコーディングスタジオを使い、エンジニアさんと一緒にレコーディングするのにあたっ
 ての心構えはレコーディングはあくまでセルフプロデュースであるということ。スタジオには様々
  な録音機材やエフェクターなどがあり、また作りたい音を作ってくれるエンジニアさんがいますが、
  これだけは忘れないようにして下さい
 

      b)よくある間違い
  ●レコーディングにかかる予算について 
 
 実際レコーディングを行いたいと連絡をもらって一番多い質問は「〜曲録りたいのですがお金は
 いくら位かかりますか?」と言う質問ですが、これに対しては実は何も言えません。なぜかとい
 うとレコーディングはあくまで時価だからです。何曲ぐらいをどんなスタイルで録音し、なおか
 つ時間をどれくらいかけたいか、ということが分からないと概算もしづらいところなのです。 

    ●実際にかかる時間について 
 録音 自分たちの楽曲は1曲5分だから、うまくいけば5分で終わると思っている人もいますが、
 これも大きな間違いです。最低限必要な手順(右図)を踏んで録音しても20〜30分かかって
 しまうためです。さらにGt等のオーバーダビングやVoのオーバーダビングも残っていますので、
 レコーディングの経験がない方なら6時間を使って平均2曲が妥当だと思います。 バックトラッ
  クを録音  演奏を聞きなおし、確認 ↓NGにするかOKにするかもしくはこのテイクを
残してもう一回録音するかなどを考える

   演奏  
  MixDown  MixDownとはマルチトラックに録音された音をバランスよく混ぜ合わせてちゃんと
  聴ける形に整える作業です。この作業はかなり重要なので、エンジニアさんと相談しながら
  自分たちのイメージに合う音に仕上げていきましょう。MixDownはおおむね1曲あたり2〜3時
  間を見ておいた方がよいのですが、この段階でいろいろなことをしようとするとさらに時間がかかってしまいます。この問題はエンジニアさんと相談しながら決めた方がよいでしょう。 


  c)楽曲の見直しをしよう
  レコーディングに入ってから「アレンジが自分たちのイメージと違う」などの問題が発生し、
 その結果、多くの時間とお金を無駄にするようなことを避ける為にも、自分たちの楽曲の見直
 しが重要です。特に楽曲のテンポの決定、各パートの演奏の確認、全体のアレンジの見直しは
 ぬかりのないようにしましょう。 

   ●楽曲のテンポの決定 
  まず、「楽曲のテンポ」を正確に決めましょう。リハーサルの段階でクリックを使って合わせて
  演奏をし、イメージに合うテンポは○○bpmである、と決めることです。この作業をすれ
  ば録音し終わった後で「遅すぎた」とか「早すぎた」ということはなくなります。曲のイメ
  ージにも影響する部分ですので慎重に決めましょう。
 
   レコーディング時のテンポは、通常演奏しているテンポより少し遅めにしとくとよいでしょう。
  なぜなら演奏面においても少し余裕が出ますし、実際録音して追加でパートを加えたいなどの不測
  の事態にも対応しやすいためです。  
  
  ●各パートの演奏の確認 
  あらためて各パートがどんな感じで演奏しているかを確認しましょう。何回もリハーサルや
  ライブなどを行っているのだから確認するまでもないと思われがちですが、レコーディング
  を行っているときに、「こんなことをしていたんだ」とか、「ここでそういうふうに弾かれ
  るとこっちのフレーズが出来ない」などのトラブルが発生する可能性があります。リハーサ
  ルの段階で発見できていれば、もう一度アレンジを見直す時間は十分にあります。
 
   実際、現場でこのようなことがあると、かなりの時間レコーディングを中断しなければ
  ならなくなり、強引に録音してもイメージどおりになりません。なおかつ時間もかかり、
  その結果予算も大幅にオーバーしてしまいます。このような「事故」が起こらないため
  にも、自分のパート以外の演奏も確認をとっておくのがよいでしょう。 
 
   ●全体のアレンジの見直し
  あとは全体のアレンジを見直しましょう。これは、この曲はどのパートから始まりどのように
  終わるかの確認が重要になります。リハーサルやライブなどでの演奏では始まりと終わりははっ
  きりしてると思いますが、レコーディングでは「フェイドアウト」や「フェイドイン」などの
  方法もとれますので、レコーディング用のアレンジを考えましょう。
 
  ADVICE 実際、この曲はフェイドアウトにしようと思ったら、録音の段階で現在演奏
   しているエンディングパターンをとりあえず倍かそれ以上演奏し、「この曲はフェイド
  アウトです」とエンジニアさんにいえば問題なく行えると思いますので、アイデアの一
  つに入れておくとよいかもしれません。  


)担当のエンジニアさん と打ち合わせしよう
   間違いや勘違いを起こさないためにも、本番の録音をする前にエンジニアさんとちゃん
  と打ち合わせをすることが一番重要です。恥ずかしがらずに相談してみましょう。 


  ●まず伝えるべきこと 
   @一発録りかバラ録りか
 Aバンド構成はどのようになっているか
 B何曲くらいの録音を計画しているか
 C録音する楽曲のイメージ
 
  この中で特に重要なのは、一発録りかバラ録りかということです。それと今回録音する
   楽曲はどんな曲なのかを的確に伝えましょう。そのためにはデモテープとまでは言いま
   せんが、スタジオで録音したテープをもって行くのがよいでしょう。この時に、この曲
   は何のパートから始まりどんな感じで終わるかや、途中に長いブレイクがあるなどのア
   レンジ状態の確認を行います。またどんな音にしたいのかなどの楽曲のイメージもしっ
   かり伝えておきましょう。 
  
  ●さらに 
  さらに、Gtは2本重ねるなどのオーバーダビングの希望がある時には確認しておきましょう。
   自分なりに計画を立てて、Gtは3本重ねChoは4本重ねるなどの計画を立てるのはよいですが、
   レコーディングスタジオによって16tr、24tr、32trなどのマルチトラックシステムの
   違いがありますので、まずはレコーディングを行うスタジオのトラック数を確認しエンジニ
   アさんと相談の上決定していきましょう。 また、いろいろなバンドがあるようにレコーディ
   ングスタイルもいろいろありますので、そのつどエンジニアさんと相談する方が確実です。
   さらにこの打ち合わせをすることによりエンジニアさんとバンドのコミュニケーションを
   深めておけば、本番に対して問題がおきたとしても対処する方法をエンジニアさんが考え
   てくれるかも知れません 



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